ポルトガルの窓から日本が見える No.47

2016.12.24 Saturday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Taxi タクシー

     

     

    リスボアの雲助タクシー

     

    日本にいる感覚で歩き回っていたら想像以上の距離があり、グッタリと疲れたのでバス乗り場へと向かう。その時、1台のタクシーがゆっくりと私たちの前を通りかかった。渡りに船とタクシーに乗り込む。乗ったのはよいが、どうも様子が怪しい。タクシーメーターをシフトギヤーに手を置いて隠そうとしている。

     

    私は身を乗り出して覗き込むと、メーターはすでに500エスクードを表示している。リスボアのタクシーは250エスクードで始まり、よっぽど走らないと500エスクードにはならないのだ。タクシータリフは、1、2、3、の番号を使い分ける。1は日中、2は夜間、3はリスボア郊外と決められている。

     

    「市内は250エスクードで始まるのに、何故500エスクードになっているの」と運転手に問いただす。彼はビクッとして苦笑いをしながら3の番号を慌てて1に戻した。彼には、私たちが何も知らない馬鹿な東洋人ツーリストと見えたらしい。ベレン地区には観光客が多いので、こうしてボロもうけする雲助運転手に違いない。

     

    「こんな雲助タクシーを許してなるものか、降りよう」潔癖症の私は怒った。奥村さんは「いいじゃないか、疲れたから乗っていようよ」と悠長なことを言って私を一層不機嫌にさせる。そうこう言い合いをしている内にペンションまで来てしまった。怒りの収まらない私は、840エスクードを運転手に払いながら「今度は正直にチャージしなさいよ」と捨て台詞をはいてドアを思い切り強くバタンと閉めた。

     

    何処の都会にも悪い奴はいるものだ、それにしても奥村さんの典型的日本人の態度「泣き寝入り」は一体何たること。日本人は、これだから外国人に馬鹿にされるのだ。「悪いことは悪い」とハッキリ発言せずには、決して国際人になれないことを知るべきだ。

     

    昨今は大勢の日本人が海外旅行を経験しているが、団体旅行でコンダクターに全て頼りっぱなしのツアーが多い。ツアーは良いとしても、せめて問題が起きた時ぐらいは他人に頼らず、自分の意見をはっきりと伝える確固たる姿勢で挑むべきだ。「海外旅行すれば国際人」というのは、大きな間違いだ。

     

    ペンションに戻るとカリモがフロントに居たので、早速ことの顛末を話す。「そいつは雲助運転手だよ」と彼も言う。私が余りにもプリプリ怒っているので、カリモは「運転手が悪い、もしポルトガル語ができなかったら、もっとボラれていたぞ」と何度もなぐさめるように言う。

     

    思い起こせばタクシーの運転席には、マリア像と十字架のロザリアが吊ってあった。「偽善者め!」こんな恥ずべき事をしておきながら、日曜日には平気な顔をして教会で懺悔(ざんげ)するに違いない。

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