No.23 Setubal,Lisboa

2016.12.22 Thursday 16:16
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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    筆者の吉田千津子、カメラマンの奥村森、コピーライターの春子、

    3人でポルトガル42日間の旅、ポルトガルを通して日本を考察する

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

    セトゥーバルの武本夫妻とおさしみ

     

    Market 市場

    Market 市場

     

    ポルトガルの日曜日は、旅行者にとっては退屈で下手をすると食いっぱぐれる心配までしなくてはならない。観光地に行けば別だが、レストランも大好きなスーパーマーケットもお休みで閉まってしまうからだ。在住していれば、家族や友人と食事やパーティーをするなどして楽しく過ごせるが、臨時住民にとってはそれもままならない。

     

    これまでは、取材のために毎日移動していたので日曜日もなかった。いざすることが無くなってみると成す術もなく、ご迷惑とは思ったが武本夫妻を訪ねることにする。「セトゥーバルは港町ですから新鮮な魚が安く手にはいるのです」と言って、武本夫妻は私たちを市場に案内してくれる。

     

    リスボアでは日曜日に市場は閉まってしまうが、ここの市場は正午まで開いている。市場は大きなドーム形をしていて、沢山の買い物客でごったがえしている。魚、肉、果物、野菜、チーズ、ソーセージなど何でもある。

     

    今日のお目当ては新鮮な魚。魚売り場に近づくと、壁に「犬侵入禁止」と大きく書かれている。こともあろうか、その真下に茶色の大型犬がデレーっと寝そべっているではないか。ノラ犬か飼い犬かは判断つかないが、数匹が場内を右往左往している。とにかく撮影開始。

     

    犬を撮っていると魚屋のおじさんが「俺も写してくれ」とせっつく。「これは、おじさんの犬」と聞いてみる。「そうだよ、そうだよ」と言いながら犬に擦り寄るが、犬は迷惑そうに後退りしている。武本さん曰く「このオヤジは写真欲しさに嘘ついているんですよ、いつものことですから」とおじさんの癖まで知っている。写真を撮ってあげると、おじさんは礼にと言って新鮮なタコをくれた。単なるたかりと違って良いところがある。

     

    昼食はタコのマリネに鯵(あじ)とトロのさしみ、どれも市場で仕入れたものばかり。武本さんが魚をおろす係り、手慣れたものだ。まさかポルトガルでさしみを食べられるとは思わなかった。私たちは白いご飯で頂く。魚のあまり好きでない私でさえも新鮮な魚は美味しく、感激の極み。アッサリ派の奥村さんは、急に元気を取り戻す。

     

    折角来たのだからと、武本夫妻は私たちを町の観光に案内してくれる。散歩しながら武本夫妻は「ここが以前住んでいた古いアパートです」と指さす。或る日、台所で料理をしていると突然天井が崩れ落ちてメチャクチャになった。このまま住んでいると命も危ういと思い、武本夫妻は今のアパートに移った経緯がある。しかし、彼らにとってはポルトガルで最初に住んだ場所なので印象ぶかいようだ。

     

    そして、武本さん行きつけの散髪屋さん。この店は古典的で中世からタイムスリップしたような散髪屋だ。今時珍しくバリカンで散髪するとのこと。町の中央からバスに乗って、毎日曜日に開かれる露店市に出掛ける。バス代は45エスクード。この料金は切符を前もって買ったクーボンの値段。「その場で買うと倍の料金を支払らわなければならない」と武本夫人が教えてくれた。

     

    15分程で露店市に着く。うさぎ、にわとり、セーター、カーペット、靴、オモチャ、雑貨といった具合で何から何まで並んでいる。武本夫人・睦子さんは目ざとくキリムのカーベットを見つけて、1万5千エスクードをディスカウントさせようと交渉したが失敗に終わる。

     

    色とデザインが美しいカーペットだった。後になって買っておけば良かったと後悔しきり。睦子さんは、センスも目の付け所も良い、買い物上手だ。イタリア製アンゴラセーターが市価の半額で売っているのには驚いた。武本夫妻は500エスクードでクッションを2つとシーツ2枚セットを、たったの1000エスクードで購入、お見事の一語に尽きる。

     

    私は以前から欲しかったプアプアの毛の付いた羊の皮で出来た上履きを買った。これでこの冬は暖かく過ごすことが出来そうだ。買い物を済ませてイレーネ・リスボアの武本さん宅に帰る。武本夫妻のアパートは家具付き2LDKで家賃8万円、窓ごしに望む港の風景は絶景で家賃以上の価値がある。午後7時、いつの日か再開を約束しておいとまする。

     

    リスボアへの帰途、「4月25日橋」の手前から11キロの渋滞となり、東京の箱崎エアーターミナルの混雑を思い出す。睦子さんの話によると、銀行ローンが低金利になったのをきっかけに急激に車を買う人が増え、渋滞の原因になっているとのことだった。ポルトガルも日本のようになってしまうのだろうか。

     

     

    リスボア市内観光

     

    Scenery face front Tejo river テージョ川を望む風景

    Scenery face front Tejo river テージョ川を望む風景

     

    今日はレンタカーを返却する日だ。朝10時に車をピックアップに来ると言うのでペンションで待ったが、11時になっても一向に現れない。電話をすると先方は落ち着き払って「あっ、ペンションの近くの路上に停めておいて下さい、そのうちに取りに行きますから」と10時の約束など、全く忘れていて謝りもしない。私ひとりが、やきもきしていたので拍子ぬけする。

     

    「馬鹿もの!それなら昨日電話をした時になんで10時と言ったんだ」と怒ってみても、相手はラテン民族「さもありなん」と納得すると不思議なことに腹も立たない。一件落着したので、ペンション裏のエドゥアルド7世公園にあるエスツゥファ・フリア(植物園)の椿を見に出掛けたが、残念なことにまだ蕾で花は咲いていなかった。

        

    公園は広大なフランス庭園で手入された芝生が敷き詰められ、それが木々の緑と調和して美しい。この公園は英国王エドゥワルドのポルトガル訪問を記念して高台に造られたもので、ここからはポンパル候広場、サン・ジョルジュ城、テージョ河、リベルダージ大通りを眼下に眺めることが出来る。

     

    リベルダージ大通りには、銀行、航空会社、ホテルが建ち並んでいる。リスボアでは、中央分離帯に不法な二重駐車どころか四重駐車するほど車で溢れているが警官は側を通っても知らん顔、やはりラテンの国はおおらかだ。

     

    昼は、私たち行きつけのロッシオ広場近くにある中華レストランで食事をする。メニューは海老のチリソース、豚と野菜の炒め物、カレースープ、それに白いご飯である。デザートは奥村さんの大好物バナナ・フリッタ(バナナのでんぷら)で、ころもがカラメルでカリカリとしていて美味しい、大学いものバナナ版と思えばよい。

     

    帰りにICEP(ポルトガル観光局)のジョアナ女史の事務所に立ち寄ると、エールフランスのストが終わらず、日本へのフライトがキャンセルされていると言うのだ。「ストが長引けば予想外の散財になってしまう、どうしよう」私は気がきではない。奥村さんは動じず「それなら待つしかないな」と平然とした顔をしている。

     

    日頃せっかちな彼にしては、大きな変わり様だ。長期ポルトガル滞在でラテン気質がうつってしまったのかも知れない。そんなことを思い煩っていても仕方ないので、リスボアでまだ訪れていない場所を観光することにした。まずは、49番のバスに乗ってベレン地区へ。

     

    ベレン地区は1755年のリスボアの大地震でも被害を受けなかったので古い建物も沢山残り、栄華を誇ったポルトガル大航海時代を偲ぶことが出来る。そこにジェロニモス修道院がある。この修道院は1502年、マヌエル一世の時代に建築家ボアタクによって建設が開始されたマヌエル様式を代表する建造物である。

     

    ここに初めて礼拝堂を建てたのが航海王子エンリケであった。その関係から修道院前の岸辺は大航海時代における探検の船出の地ともなったのである。修道院と海辺の間には、アルブケルケ広場とインペリオ広場があり、その真ん中を電車が猛スピードで走りぬける。

     

    日本ならば軌道に柵があって当たり前だが、ここには何にもない上に電車がひっきりなしに通過するのでおちおち歩いてもいられない。危険なので地下道を通り抜けてインペリオ広場へとぬける。地上に出ると発見のモニュメントが目の前に見える。この碑は、エンリケ航海王子の500回忌を記念して1960年に大理石で建てられたものだ。

     

    このモニュメントの右側には18世紀前半にテージョ河の船の出入りを監視する要塞として建てられたベレンの塔が建っている。モニュメントから塔まで目では近くにあるように見えるが、歩き出すと結構な距離である。私たちが訪れた時刻が夕方だったので塔の中には入れなかったが、カモメが夕日をあびて「ギャーギャー」と戯れる姿も一見の価値がある。

     

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