ポルトガルの窓から日本が見える No.43

2016.12.22 Thursday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Palacio de Queluz ケル-ス宮殿

     

     

    トゥーリスト・トラップ

     

    エボラを過ぎてリスボアに入って以来、今日まで晴れの日が続く。ポルトガル北部と違って、リスボアはコスタ・ド・ソル(太陽の海岸)と呼ばれるだけのことはある。晴れていると気持ちも明るくなってハイキングにでも出掛けたくなる。今日は、日本人旅行者も多く訪れる観光地、ケルース宮殿、シントラ、ギンショの浜に行くことにする。

     

    リスポアから西北に15キロ離れたケルースには、ベルサイユ宮殿を模したパラシオ・デ・ケルース(ケルース宮殿)がある。宮殿は薄いビンクとベージュのポルトガルカラーでコーディネイトされている。ここはドナ・マリア一世の夫ドン・ペドロの命により、18世紀中頃に建造が始められたが、1807年ナポレオンの侵入によって工事が中断されたといわれる。

     

    庭はフランスとイタリア様式の混合で、女性の顔とライオンの胴体が結合された像などがシンメトリーに置かれている。庭の緑の木々や花々は綺麗に刈られ、中世の音楽でも聞こえてきそうな美しいハーモニーをかもし出す。

     

    宮殿を出て細い山道を登って行くとノロノロの大渋滞。今日は休日、日本と同じように人々が一斉に観光地を目指すのだからどうしようもない。抜け道もないので我慢して車に乗り続ける。長時間座っていたので腰が痛くなり駐車して一休みする。

     

    背筋を伸ばそうとして上方を眺めると、パラシオ・レアル(王宮)の円錐三角形をしたグロテスクな2本の煙突がニョッキリと見えた。王宮の煙突は台所の換気のためで、当時は牛1頭をまるごとバーベキューにする時に使われていたという。台所には、槍のように太い大きな串が3本置かれ、その長さを見ると想像を絶するものがある。

     

    ここには、天正少年使節が招待された白鳥の絵を描いた「白鳥の間」や赤いバラをくわえたカササギが天井いっぱいに飛んでいる「カササギの間」がある。ジョアン一世が女官を誘惑している所を王妃に見られ、その言い訳に、それらの絵を描かせたと伝えられている。チャペルには壁一面に鳩が描かれ、ここはまるで鳥の楽園だ。

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