ポルトガルの窓から日本が見える No.35

2016.12.18 Sunday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Retired people 老人養護施設の入居者

     

     

    神殿と老人養護施設(ラール)

     

    アレンテージョ地方に来てから快晴の日が続づく。歴史の街、エボラもポルトガル晴れ。昨日から泊まっている「ポウザーダ・ドス・ロイオス」は、街中にあるので便利だ。古い城跡に修道院が建てられたのが15世紀のこと、そして1965年にポウザーダとして改装されたのがドス・ロイオスの歴史だ。

     

    隣接した16世紀に建てられたという修道院会議堂は、レストランとして生まれ変わっている。ポウザーダ前の広場には、巨大な大理石で造られたコリント様式の柱が14本もそびえたち、さながらギリシャ・オリンポスの丘を彷彿とさせる。これが紀元2世紀にローマ人によって建てられた「ディアナの神殿」である。円柱の土台と柱頭部分にはヴィラ・ヴィソーザ産の大理石が使われ、抜けるような青空に向かって真っ白なエンタシスが突き抜けるように伸びる様は、素晴らしいコントラストで映え雄大そのものだ。

     

    春子の原稿は未だ出来上がらず、今日もポウザーダで執筆するために居残ることになった。私と奥村さんは、かねてからの念願であったポルトガルの老人養護施設の取材に行くことにする。観光局に尋ねても老人養護施設は観光地ではないので「郊外にあると聞いたことはあるんですが」と何とも頼りない。

     

    やむをえず、ありそうな地域にめぼしを付けて車を走らせ道を尋ねながら探すことにした。たどり着いた施設は、ミゼルコルニア教会所属の「ラール・ラマリョ・バラオーナ」であった。外見は城のような形をしている。余りに広いので入口の見当もつかないほどだ。ホームでイルマ(シスター)レジーナ・ネーヴェスに取材許可をとる。

     

    昼時だったので、食事風景から撮影することになった。昼食を知らせる鐘が「カランカラーン」と鳴らされると、老人たちが一斉に食堂に集まってくる。そして気に入った仲間と食卓を囲み、とても明るく楽しそうだ。食堂は300坪はあろうか、150人もの人が一挙に食事ができるのだから大企業の社員食堂並みの規模である。

     

    奥村さんはチョコチョコとテーブルからテーブルへと撮りまわる。彼らは写真を撮られた経験も少ないと見え、興奮気味にポーズをとる。おばあちゃんの一人は、奥村さんを写真屋さんと勘違いして「いくらかね」とサイフを出して払おうとする。「私を撮って、撮って」と奥村さんは大モテ、撮らなくても良いものまで老人たちを喜ばすためのサービスに努めている。

     

    今日のメニューは、スープ、豆、じゃがいも、魚のフライ、それにサラダとメロンがデザートのフルコースである。ここは自分で動くことが出来る元気な人のための食堂だが、この施設では健康を害している人のために小さな食堂を男女別に用意している。

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