ポルトガルの窓から日本が見える No.28

2016.12.17 Saturday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Serra cheese セラ・チーズ作り

     

     

    ダウン地方の田園生活

     

    念願のチーズ作りを見学しようと、カナス・デ・セニョリンにあるツリズモ・デ・アビタソン「カーザ・アブレウ・マデイラ」に行く。ここはセラ地方と呼ばれ、チーズはセラ・チーズとして有名だ。

     

    まず、羊の乳を35度に温める。それにコアーリョ(自然の凝固剤)と塩を入れる。固まるのを待って穴のあいたメタル容器に移し、水分を1時間かけて取る。漉し取った水分は、もう一度煮詰めてレケイジョン(クリーム・チーズ)にする。チーズは1ヶ月間、蔵で毎日裏返しながら熟成させると出来上がり。「カーザ・アブレウ・マデイラ」では、10月から5月までホームメイド・チーズを作るそうだ。羊特有のきつい臭いもなく、とても美味しかった。

     

    チーズといえばワイン。この地方のワイン「ダウン」も有名である。郷土菓子は「カスターニャ・デ・ヴィゼウ」といって日本のケイランソーメンに似ている。その帰途、ブラガンサ家の末裔の住んでいる邸宅の前を通った。42歳で独身、まだ王制が続いていれば、世が世なら彼はポルトガル王になっていた人である。こんなひなびた小さな町に王様の末裔が住んでいるなんて、ちょっと以外だった。

     

    畑の中に真っ直ぐに延びた一本道を進むと、突然、道路を横切る羊の大群。奥村さんは、早速車を止めて羊のほうへ走って行く。だが、すぐに息をゼイゼイさせながら真っ赤な顔をして慌てて帰ってくる。「牧羊犬に阻まれて撮影できなかった」とのこと。これまでの旅で奥村さんは「番犬は必死に羊を守る、それを脅かすものには容赦なく跳びかかる」という気質を学んでいたからだ。

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