ポルトガルの窓から日本が見える No.26

2016.12.16 Friday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Sheep farming 牧羊

     

     

    ポルトガルの東洋人

     

    ラメゴからヴィゼウに向かう。出発前、わざわざジョルジがお別れに来てくれた。本当に人の好い、人情深い人だ。昨夜は3人とも、ジョルジの家からホテルに戻ると気分が悪くなり吐いてしまう。昼に食べたサンドイッチがあたったものと思われる。奥村さんはとりわけ酷く、一睡も出来なかったようだ。

     

    だが気分が悪くてもプロ意識旺盛な奥村さんは、途中、羊の大群を連れて山中を歩くおじさんと山上で出会うと撮影を始める。1時間半ほどでヴィゼウに到着。体調が悪いためか、馬鹿に長く感じる。観光局の紹介で4つ星ホテル「グラン・ヴァスコ」にチェック・イン。ホテルは夏のシーズンも終わり閑散としている。オフシーズンのためか暖房もカットされ、各部屋にポータブル・ヒーターを備えて暖を確保している。

     

    フロントには、東洋人の顔付きをした50歳代の男とでっぷりとした恰幅の良い男がいる。東洋人風の男が私たちの重いスーツケースを3つ、ハーハー言いながら運んでくれた。荷物1個につき200エスクードのチップを差し出す。その男は「あなたは、中国人か」と私に尋ねる。

     

    その質問は、逆に彼にしようと思っていたところだ。その男は「自分はポルトガル人で中国へは行ったこともない」と言う。何代か前の祖先がマカオからポルトガルに移住した中国人の子孫なのだろう。ポルトガル北部、内陸部まで来ると東洋人はおろか、世界中どこに行っても出会う中国人にすら会うことは無かった。

     

    彼は私が中国人だったら、中国事情でも聞こうとでも思ったのだろうか。言うなれば、私は彼にとってパンダ的存在なのである。体調が相変わらず良くならない3人は、今日は休日にすることにした。一番体調の悪い奥村さんは、昼も夜も日本から持ってきた日本茶とミソ汁だけをすすっている。その夜、私たちは、これまでの疲れと緊張から一日中眠りこけた。

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