ポルトガルの窓から日本が見える No.21

2016.12.15 Thursday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Picture of Pacheco パシェッコ遺影

     

     

    ヴィラポウカ伯爵

     

    大好きなポンテ・デ・リマを離れ、ギマランイスへ向かう。私たちは途中の町、ブラガに立ち寄ることにした。ポンテ・デ・リマで会ったフランシスコ・パシェッコの子孫だというアブレウ・デ・リマ伯爵から「最近、ブラガの親戚のヴィラポウカ伯爵宅で日本で殉死したフランシスコ・パシェッコのデスマスクから写した絵が発見された」との情報を得たからだ。

     

    城のように大きな邸宅に着いたが、何処が入り口なのだかわからない。大声で叫んでみるが、余りの大きさに声も届かない。仕方なしに階段のある2階の扉まで上って声をかけると、やっとヴィラポウカ伯爵の母親が現れた。今、伯爵は仕事で他国に駐在しているとのことで不在ではあったが、彼女が親切に案内してくれた。

     

    屋敷のなかは少々カビ臭かったが、ここも博物館のようで面白い。木造りの30センチほどの十字架が書棚の中央に見える。彼女は「これがフランシスコ・パシェッコの遺骨です」と言いながら十字架に仕組まれた小さな4つの窓を指さした。そこにはパシェッコの小さな骨の一部、薬草と木のかけらなどが窓から見えた。彼女は「何でも撮って下さい」と大変協力的で有難いのだが、話し出すと止まらなくなるのにはまいる。

     

    この屋敷がある敷地には、17世紀に建てられたプライベイト・チャペルがあり、今でも神父さんが毎日曜日に来て礼拝をしているそうだ。時が流れても変わらぬ宗教心には驚かされる。教会内の装飾はターリャ・ドラードと呼ばれる金泥細工が主体で、壁には3人の天使が空中を舞っている絵が描かれている。金箔が少々剥げ落ちてはいるが、なかなかなものである。

     

    お目当てのデスマスクから写したパシェッコの絵を見せてもらった。西坂の事件を思い出すと、日本人として申し訳ない気もちでいっぱいだった。私たちは、心ゆくまで取材をして、満足感に浸りながらギマライスへと向かう。

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