No.8 Bussaco,Aveiro

2016.12.14 Wednesday 17:07
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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    筆者の吉田千津子、カメラマンの奥村森、コピーライターの春子、

    3人でポルトガル42日間の旅、ポルトガルを通して日本を考察する

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

    パラス・ホテル・ブサッコ

     

    Palace Hotel do Bussaco パラス・ホテル・ブサッコ

     

    コルク樫のうっそうと茂った並木道、クネクネと曲がった坂を登りきると来訪者をチェックする監視所がある。そこで、私たちの名前を告げホテルの敷地内に入る。5つ星ホテル「パラス・ホテル・ブサッコ」今日、私たちが泊まる宿だ。

     

    ここは修道院として1600年代に建造されたが、1882年になってホテルとして改築、今日に至っている。入口にはジョアン・ペドロ時代の由緒ある家具、広く赤い絨緞を敷き詰めた側面の壁にはフレスコ画、アズレージョ(ポルトガル特有のタイル壁)には「ブサッコの戦い」「セウタの征服」「ナポレオンのポルトガル侵入」の三部作が白と濃紺で鮮やかに描かれている。

      

    「ナポレオンのポルトガル侵入」は、ナポレオン2世率いるフランス軍がポルトガルに侵入、迎え撃つポルトガル軍は、援軍として駆けつけたウェリングトン将軍率いるイギリス軍と共に戦い抜き、ついにフランス軍を撤退させるという話。

     

    各部屋のインテリアは、ピンクの部屋、ブルーの部屋など色とりどり。私の部屋はベッドが異常に高く、洪水になっても大丈夫なほどだ。ヘッドボードはイタリア製の彫刻が施され、とにかく立派だ。だが、暖房器具は設置されているのだが、故障しているらしくとても寒い。ホテルの人が親切にも電気ストーブを持って来てくれたが、なにしろ天井の高い大きな部屋では、なかなか暖まらない。

     

    一向に効果のないストーブに寒さを凌ぐ覚悟を決めた私は、有効利用としてこれまでため置いた洗濯物を洗って、そのストーブの上に干すことにした。ほどよい温度のためか朝までに完全に乾き満足、満足。

     

    この近くにミネラルウォーター「ルーソ」として全国にしられる良質の水が湧き出ることもあってか、水の味は最高。顔を洗うとツルツルになる素晴らしい天然水である。ブサッコ周辺はバイラーダ地方と呼ばれ、郷土料理は子豚の丸焼きだが、頭もついているので睨まれている気がして余り気分はよくない。それに南部鉄のような鍋で料理されたヤギのワイン煮である。この2つが代表的な郷土料理と言える。

     

    このホテルの自慢はワインセラーである。「パラス・ホテル・ブサッコ」は4つのホテル・チェーンがあり、それぞれで消費されるワインを独自で生産している。一年の生産量は約8万本。ホテル製ワインは決して小売しないので、ワイン飲みたさに宿泊する人もいるほどでヨーロッパでも人気らしい。ここのワインは付加価値があるにもかかわらず値段はほどほど、1100エスクードくらいから飲めるので嬉しい。

     

    この日も、スペインのワイン・クラブメンバー15人がヨーロッパ各地のワインのテイスティングをしながら優雅な旅をしていた。ワインの瓶づめ、ラベルはり、瓶の洗浄まで、すべて手作業。瓶の外側はぬるま湯でよく洗う、内側のくもりは特殊な砂を入れて丁寧に洗い再利用、このリサイクル精神を日本の企業も見習うべきだと思う。ワインが客に供されるときに、初めてラベルをはるという手のこみよう。

     

    マネージャーのセニョール・リベイロは、アラン・ドロンに似たハンサムで感じのよい人だ。彼は「このホテルでは、イギリスのエリザベス女王やチャーチル元首相も滞在されワインを楽しまれたことがあるんですよ」と誇らしげに語る。そういえばロビーから部屋に向かう通路の壁に歴史的人物がこのホテルに宿泊した際、撮った記念写真の数々が飾られていた。

     

     

    子豚地方と狂犬

     

    Small boat アヴェイロ運河のモリセイロ(小舟)

    Small boat アヴェイロ運河のモリセイロ(小舟)

     

    ブッサッコを出発してアヴェイロへ向かう。メリャードという小さな町にでる。この町はコインブラとポルトの分岐点に当たり、私たちは、これからポルト方面に進み、途中のアヴェイロに立ち寄る予定だ。道路の両側には、屋根に大きな煙突のあるレストランが建ち並び、モクモクと噴き出す煙があたり一面を包む。どのレストランも日曜日とあって長蛇の列、ワイワイと賑わいお祭り騒ぎだ。

     

    どう見ても、この町の規模には不釣合いな光景だ。丁度、昼時なので、そのお祭り騒ぎに加わることにした。外で待っている間、イライラするポルトガル人は1人もいない。みんな楽しそうに話に夢中になっている。レストランの中は戦場さながら、ウェイター達がコマネズミのようにテーブルとテーブルの間を行ったり来たり。食事を終えた客は、長さ80センチ以上もあろうかと思われる紙箱をかついでいる。「あれは何だろう」私はぼんやり眺めていた。

     

    混んでいるので、なかなか注文を取りに来てくれない。随分待たされたあげく、やっとのことで魚介類のオジヤ風とイカのグリルを注文、ホッとする。ところがまたしても注文したものがなかなか来ない。他の人の注文は直ぐ来るのに、不思議に思い観察してみると、ほとんどの客は子豚の丸焼きを食べているではないか。

     

    そうなのだ、ここは子豚地方。こんな所でシーフードを食べる田舎者はいない。私たちは場違いな料理を注文した変な東洋人になってしまった。3人で苦笑。そして、先ほどの紙箱の中味は子豚の丸焼きと判明、テイクアウト用のものだった。それにしても皆うやうやしく持つ姿には、まいった、まいった。

     

    いよいよアヴェイロ。アヴェイロは日本の大分市と姉妹都市縁組をしている。今日の宿はホテル・アルカダ、町の中心にあるロータリーに面している。部屋の窓からロータリーを見下ろすと、中央にオワンをひっくり返したような形の木々が茂り、夕刻には、そこをネグラにする無数の鳥たちで喧しい。

     

    町の中心部には、運河が流れている。ベニスのゴンドラを模した色彩豊かな「モリセイロス」と呼ばれるボートが2、3隻浮かんでいる。以前に資料で調べておいた、牛が曳く地引網を見ようと海岸まで行ってみる。だが、今は10月、夏も終わり海が荒れるので今年はもう終わってしまったとのこと。残念。

     

    帰途道を間違え、うっそうと茅の茂った原っぱに出てウロウロしていると、突然、どこからともなく数匹の野犬と化した野良犬がもの凄いけんまくで歯をむき出し、私たちの車に突進して来た。その姿はライオンにも似て、さながらアフリカのサバンナに来ているようだった。私たちは車の窓をしっかりと閉め発進しようとするが、犬たちが前方を塞ぎなかなか発進できない。まかり間違って車のガラスでも割って中に飛び込んでこようものなら、この状況では狂犬病にもなりかねない。私たちに緊張が走る。やっとのことで犬たちを振り切り命からがら、その場を抜け出すことができた。この時ほど車が有難く思えたことはない。

     

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