ポルトガルの窓から日本が見える No.15

2016.12.14 Wednesday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Palace Hotel do Bussaco パラス・ホテル・ブサッコ

     

     

    パラス・ホテル・ブサッコ

     

    コルク樫のうっそうと茂った並木道、クネクネと曲がった坂を登りきると来訪者をチェックする監視所がある。そこで、私たちの名前を告げホテルの敷地内に入る。5つ星ホテル「パラス・ホテル・ブサッコ」今日、私たちが泊まる宿だ。

     

    ここは修道院として1600年代に建造されたが、1882年になってホテルとして改築、今日に至っている。入口にはジョアン・ペドロ時代の由緒ある家具、広く赤い絨緞を敷き詰めた側面の壁にはフレスコ画、アズレージョ(ポルトガル特有のタイル壁)には「ブサッコの戦い」「セウタの征服」「ナポレオンのポルトガル侵入」の三部作が白と濃紺で鮮やかに描かれている。

      

    「ナポレオンのポルトガル侵入」は、ナポレオン2世率いるフランス軍がポルトガルに侵入、迎え撃つポルトガル軍は、援軍として駆けつけたウェリングトン将軍率いるイギリス軍と共に戦い抜き、ついにフランス軍を撤退させるという話。

     

    各部屋のインテリアは、ピンクの部屋、ブルーの部屋など色とりどり。私の部屋はベッドが異常に高く、洪水になっても大丈夫なほどだ。ヘッドボードはイタリア製の彫刻が施され、とにかく立派だ。だが、暖房器具は設置されているのだが、故障しているらしくとても寒い。ホテルの人が親切にも電気ストーブを持って来てくれたが、なにしろ天井の高い大きな部屋では、なかなか暖まらない。

     

    一向に効果のないストーブに寒さを凌ぐ覚悟を決めた私は、有効利用としてこれまでため置いた洗濯物を洗って、そのストーブの上に干すことにした。ほどよい温度のためか朝までに完全に乾き満足、満足。

     

    この近くにミネラルウォーター「ルーソ」として全国にしられる良質の水が湧き出ることもあってか、水の味は最高。顔を洗うとツルツルになる素晴らしい天然水である。ブサッコ周辺はバイラーダ地方と呼ばれ、郷土料理は子豚の丸焼きだが、頭もついているので睨まれている気がして余り気分はよくない。それに南部鉄のような鍋で料理されたヤギのワイン煮である。この2つが代表的な郷土料理と言える。

     

    このホテルの自慢はワインセラーである。「パラス・ホテル・ブサッコ」は4つのホテル・チェーンがあり、それぞれで消費されるワインを独自で生産している。一年の生産量は約8万本。ホテル製ワインは決して小売しないので、ワイン飲みたさに宿泊する人もいるほどでヨーロッパでも人気らしい。ここのワインは付加価値があるにもかかわらず値段はほどほど、1100エスクードくらいから飲めるので嬉しい。

     

    この日も、スペインのワイン・クラブメンバー15人がヨーロッパ各地のワインのテイスティングをしながら優雅な旅をしていた。ワインの瓶づめ、ラベルはり、瓶の洗浄まで、すべて手作業。瓶の外側はぬるま湯でよく洗う、内側のくもりは特殊な砂を入れて丁寧に洗い再利用、このリサイクル精神を日本の企業も見習うべきだと思う。ワインが客に供されるときに、初めてラベルをはるという手のこみよう。

     

    マネージャーのセニョール・リベイロは、アラン・ドロンに似たハンサムで感じのよい人だ。彼は「このホテルでは、イギリスのエリザベス女王やチャーチル元首相も滞在されワインを楽しまれたことがあるんですよ」と誇らしげに語る。そういえばロビーから部屋に向かう通路の壁に歴史的人物がこのホテルに宿泊した際、撮った記念写真の数々が飾られていた。

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