ポルトガルの窓から日本が見える No.14

2016.12.14 Wednesday

0

    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Coimbra Library コインブラ図書館

     

     

    コインブラの一日

     

    昨日降った雨もやみ、今日はコインブラの取材。四つ星ホテル・チボリ・コインブラにチェックイン、新築の明るいホテルだったのでひと安心。観光局のクリスチーナが迎えに来てくれる。彼女はコインブラ大学卒のエリート、ちょっと丸くて肌は浅黒い。リスボア観光局のジョアナに比べると愛想はないが笑うととても可愛い。

     

    この町はコインブラ大学を中心に発展した都市、他のポルトガルの町が若者の流出で高齢化が進むなか、珍しく若い学生で溢れている。コインブラ大学には古い歴史がある。とりわけ図書館は18世紀バロック後期の造りで、天井は天使のネオ・クラシック調の絵で飾られ、家具はブラジル独特の木・シンテッコで作られ荘厳な雰囲気、建物ひとつ見ても博物館そのものだ。

         

    本棚は、ポルトガルの植民地だったマカオを彷彿とさせる中国風の細かい金泥細工が施され、館内は西洋と東洋がうまく融合して独特な文化を生み出している。その棚は、床から天井まで整然と並べられた貴重な歴史的書物で埋めつくされている。ここに保存されている本は50万冊もあり、全てマイクロフィルムに納められ、当館地下の閲覧室で見ることが出来る。

     

    この資料の中には「プルグリナソン・デ・フェルノン・メンデス・ピント」という日本に関する古書も含まれているとのこと、許可が下りれば撮影可能かも知れないと奥村さんは興奮気味。大学のすぐ側には、ムゼウ・ナショナル・デ・マシャード・デ・カストロ(マシャード・デ・カストロ国立博物館)がある。この博物館には、ローマ人が造った地下道があり圧巻そのもの。この地を観光で訪れる人は必見の価値がある。

     

    市内にあるセ・ノーヴァ(新カテドラル)とセ・ヴェーリャ(旧カテドラル)を見学した後、コニンブリガへと向かう。コニンブリガは前記の通りローマ遺跡で有名な所だ。ここからローマまでモザイクの道で延々と結ばれていたという。この大規模なローマ遺跡はまだ発掘が一部しかなされていないが、完了すれば画期的な歴史遺産になることだろう。それにしても、この壮大なロマン、ローマは偉大なりだ。私達が訪れた時、4、5人の若者が発掘に精を出していた。彼等は大学で考古学を専攻し「実習で発掘の手伝いをしているんだ」と語った。

     

    夜はクリスチーナに世話になったお礼に食事をご馳走することにする。彼女は「美味しいレストランを知っているから、そこで夕食をしましょう」と提案。食いしん坊の私たちは早速でかけることにした。

     

    コニンブリガを出ると真っ暗で舗装もしていないガタガタ道、そのうえクリスチーナの運転がF1レーサー・セナよろしく「飛ばすは、飛ばすは」寿命が縮む思いだった。コインブラから19キロ離れたカンタニェーデという小さな町に、そのレストランはあった。こじんまりとした一軒家で、中に入ると家庭的な雰囲気のレストランだ。すでに1組の家族が食事をしている。

     

    まずは食前酒、そしてオードブル「なんだこれは」私たち3人はオッタマゲてしまった。オードブルの皿が60センチ以上はゆうにある、丸ごとキャベツがドンと半切りした状態で、直径10センチのチーズの塊が3種類、大きなサラミが1本丸のまま、メロンの大切りにパイオ(ハムとサラミのあいのこ)とフレッシュ・チーズが数えきれないほど沢山ブスッブスッと大胆にナイフで刺して盛ってある。

     

    こんなオードブル見たことない、これがオードブルならあとはどうなるのだろう。大食漢の春子と私でさえ恐怖におののいた。小食の奥村さんは目を白黒させて「どうしよう」とキョロキョロしている。実は、私たちがショックだったのは量だけではなかった。

     

    昨日から贅沢をしすぎて予算オーバー「今日は粗食で」と決め込んでいたからなおさらである。3人は食べる前から胃が重く、気分が悪くなっていた。オードブル後も、ご馳走が「出るは、出るは」もうこうなると拷問だ。ホテルにたどり着いた時は、皆疲れきって食べ物の話をするのも厭になっていた。

     

    コメント
    コメントする