ポルトガルの窓から日本が見える No.10

2016.12.13 Tuesday

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    ポルトガルの窓から日本が見える

     

    文:吉田千津子 写真:奥村森

     

     

     

    Monastery of  Alcobaca アルコバッサ修道院

     

     

    アルコバッサ初日

     

    今朝、ポルトガルに来て初めて雨が降った。アルコバッサ到着、この町は今までの町と違い道路が広く、交通量も比較的少なく、空気が澄んでいる感じがした。町の中央には、ゴシック様式のモステイロ・デ・マリア(修道院)がある。これが春子のかねてからのお気に入りの修道院で、日本でも知られる悲恋物語の主役ドン・ペドロとイネス・カストロの墓があることで知られている。

     

    教会の中では50代の観光案内人のおじさんが、東洋人来訪が珍しいとみえ、何かと説明をしてくれる。春子は水を得たりと日本で買ったガイドブックで読んだことをオウム返しに質問する。勿論、それを通訳するのだが、すでに判っていることを聞いても仕方がない。春子が一生懸命取材をしようとすればする程、私は厭になってきた。やっとのことで取材を終え、おじさんに礼をいって少々のチップをさしあげて別れた。

     

    昼食は、レストラン「セレイロ・ドス・フラデス」で食べることにする。久しぶりの美味しい昼食、私は「かじきまぐろの塩焼き」、春子は「いか」、奥村さんは「ステーキとフライドポテト」、ごはんにサラダである。「塩抜きで」と頼んだので普段の味が楽しめた。ポルトガル料理は一般的に北に行くほど塩辛く、量が多くなる、それにテーブルにつくと必ず直ぐにチーズやオリーブのオードブルが出る。私たちはチーズを食べることにした。

     

    ところが石のように固い、尋常な固さではない。ナイフを使っても切れない、周囲を気にしながら、やむをえずたたき割る。まるで石鹸を食べているみたいだ。奥村さんは自分から食べようと言い出した手前、1人で半分ほど食べたが、ついにリタイア。

     

    「なんでこんなチーズを出すのだろう」と話題沸騰。「きっと何度も客に出して乾燥してしまったんだ」、「外人だから文句を言わないとおもっているんだ」、「金もうけ、オーナーが効率主義者なんだ」などいろいろな意見が飛び出したが、結局本当のところは判らずしまいであった。

     

    アルコバッサの町は、アルコア川とバッサ川の交わる所にある。中世の十字軍遠征のおり、シトー教団の命によりキリスト教をポルトガルに普及させるために文化と農業を教え広めた歴史がある。この町は、その拠点として栄えメッカとなった土地だ。町外れには、沢山の陶器工場があり歴史を偲ばせる。

     

    工場はさんちゃん経営から大規模なものまであるが、どの焼き物もデザインと色は明るく楽しいが、焼きはあまい。でも、せっかく来たのだからとホテルの主人に陶器工場の住所を聞いて突撃取材。訪ねてみると一字違いの社名、それでも陶器工場には変わりないと厚かましくも取材を申し込む。快く承諾を得てなかに入ると、思いがけず私たちが探していた椿の花「ジャポネイラ」をパターン化したデザインの花瓶が見つかり、私たちは大喜び。

     

    夜、春子がヴィーニョ・ヴェルデ(ポルトガルのアルコール分の少ない若いワイン)を買ってくる。やはり私の口にはあわない。昨日カルダス・ダ・ライーニャの青空市場で買った大きなパンは、とても美味しく噛めば噛むほど深みがある、チーズも絶品。

     

    今日は奮発して4つ星ホテル「サンタ・マリア」1日6000エスクード、これまでの中では一番贅沢なホテル。しかし、部屋に案内されて驚いた、奥村さんの部屋の窓が半分ないのだ。この寒さなのに蝿が元気にブンブン飛ぶおまけつき。早速、ボーイを呼び別の部屋を用意させる。

     

    春子の部屋は一番大きく、壁色がパウダーブルーでコーディネイトされ、まるで女王様の部屋、彼女は満足の極み。私の部屋は豪華大理石のバスルーム、だが、お風呂に入ってバスタブにお湯を入れようにも蛇口からは何時までたっても冷たい水しか出てこない。またまた電話で文句を言うが「その内出ますよ」とつれない返事。結局、ぬるま湯が限界、しょうがなしに風呂に入る決心、結果、風邪ぎみとなる。「これでも4つ星ホテルか」と叫びたくなった。 

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